学校司書@非常勤

とある小学校の図書室に生息する、学校司書。難しいこと語れません。絶滅しかかってます。

原田マハ『サロメ』読了

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今週のお題「ゴールデンウィーク2018」


長かったような短かったような連休も終了。仕事モードに頭をシフトチェンジです。
連休後半、子供が熱を出していたので本ばかり読んでいました。



課題図書は半分ほど読了したところなのですが、そろそろ毒のある本読みたくなり。ちょうど予約で回ってきたこの本を読むことしました。


これがまたついつい夢中になってしまって、一気読みでした。


原田マハさんの『サロメ』です。

サロメ

「不謹慎」「不健全」「奇怪」「退廃的」…世紀末、すべては賛辞の裏返し。
その悪徳とスキャンダルで時代の寵児となった作家オスカー・ワイルドと、イギリス画壇に彗星のごとく現れた夭折の天才画家、ビアズリーの愛憎を描く。
「BOOK」データベースより


表紙のなんとも不気味な絵は、オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』のワンシーンを表してします。

戯曲『サロメ』とは


『サロメ』は新約聖書に書かれていた話を元に、オスカー・ワイルドが戯曲にしたものです。

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ユダヤ王『へロデ』は、自分の兄を殺しその妃を奪い王座につきます。
しかし、今度は妃の連れ子である『サロメ』に魅せられていきます。


義理の父に色目を使われ、避けるために逃げたこんだ牢で、サロメは捕らえられている預言者『ヨカナーン』を見てしまいます。


その姿を一目見て、恋をしてしまったサロメ。
しかし、ヨカナーンは彼女の想いに答えるばかりか、頑なに拒絶します。


BiblioArt Series オーブリー・ビアズリー「ヨカナーンとサロメ」 ジークレープリント(額絵)


へロデはサロメに何でも褒美をあげるので、妖艶な踊りを踊ってくれと頼みます。
王の望みに答え、踊り終えたサロメはある褒美を所望します。


その褒美とは、


『ヨカナーンの首』でした。


預言者の力を恐れ、はじめは断るへロデ。ですが結局はサロメの願いを聞き入れ、ヨカナーンを殺してしまいます。


銀の皿に乗せられた首を見て、サロメは


あぁ、あたしはとうとうお前の口に口づけしたよ、
ヨカナーン、お前の口に口づけしたよ。


BiblioArt Series オーブリー・ビアズリー「お前の口に口づけしたよ」 ジークレープリント(額絵)



とヨカナーンに口づけします。


恍惚な表情のサロメを見て、ヘロデは彼女も殺してしまいます。


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この絵はオーブリー・ヴィアズリーが『サロメ』の挿絵に書いたものです。



無名だったヴィアズリーはこの『サロメ』の挿絵で、一躍注目を集めることとなりました。それもオスカー・ワイルド以上に。



実は去年開催された『怖い絵展』で、これと違うバージョンのヴィアズリーの『サロメ』の絵を見ました。 原画自体はとても小さく、モノクロで緻密な線なのですが、存在感が圧倒的で印象に残っていました。



たまたま書店でこの『サロメ』を見かけた時に、『ひょっとして、あの絵?』と気になったのでした。



物語は『サロメ』を巡り、オスカー・ワイルド、オーブリー・ヴィアズリー、そしてオーブリーの姉であるメイベル・ヴィアズリーを中心に愛憎入り乱れながら進んでいきます。


若くて才能のあるオーブリーに興味を抱く、男色のワイルド。ワイルドの手に落ちた挙げ句、憎悪の気持ちを抱いていくオーブリー。そして、才能ある弟を誰よりも想いながらも自らの欲望を押さえきれず、罠をしかける姉のメイベル。もう、ドロドロです。



フィクションであるのに、まるでノンフィクションにしか思えないようなリアルさにどっぷりはまってしまいました。この本では表紙の『サロメ』の絵しか載っていないのですが、文章からオーブリーの絵が次々と頭に浮かんでくるから不思議なのです。



彼の絵をもっと見てみたくて、この本も借りてました。


オーブリー・ビアズリー―世紀末、異端の画家 (小さな美術館)


発表当時から異端の絵だといわれていたそうですが、それはそれは想像以上でした。

ちょっと子供には見せられないかな。というぐらい、淫靡な絵ばかり。
返却するときに思わず裏表紙の絵を隠してしまいましたからね。(誰も気にしてないと思うけど)



ラストシーンは、まさに


『そうきたかー!』


という展開。


怖い怖い。女って怖いな。でもそこが面白い!


久しぶりに興奮した本でした。



私にとっては初原田マハさんでしたが、もっと読んでみたいです。
ドロドロなのに、読了後はなぜかすっきり。おすすめです。



サロメ (岩波文庫)

サロメ (岩波文庫)