学校司書@非常勤

とある小学校の図書室に生息する、学校司書。難しいこと語れません。絶滅しかかってます。

新学期始まりました。『司書はここにいるよ!』

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三学期が始まりました。

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クリスマス、お正月と大きな行事もありすっかり頭も正月ボケ。

朝は寒いし、布団から出るのも辛い。ずっと布団に入っていたーい!
でも、それは子供達も一緒。


我が子もポツリと

『学校行きたくないな・・・。』

と玄関で肩を落としていましたから。ははは・・・。


いじめや不登校など深刻な問題を抱えている子もそうですが、新学期のタイミングでなんとなく学校に行きたくないな。と思ってしまう気持ちは大人でも痛いほどわかります。




最近こんな記事が話題になっていました。

www.bengo4.com

以前も見たことあった記事なのですが。

「夏目漱石の本はありますか?」。
ある埼玉県立高校の学校図書館に、生徒が訪ねてきた。
その様子から、図書館や読書に慣れていないと感じた司書が、漱石の本を紹介しながら詳しく話を聞くと、入試の面接対策のために有名作品を借りにきたという。
しかし、有名作品を突然、1冊だけ読んでも付け焼き刃の感想にしかならないと考えた司書は、生徒と会話しながら興味を持てそうなジャンルを提案。
生徒は紹介された本棚から数冊を借りていった。


このエピソードを元に、学校司書である木下道子さんが

『これは学校図書司書あるあるです。』と司書の日常を語ってらっしゃいます。



木下道子さんは『読みたい心に火をつけろ!』の著者。学校司書歴32年のベテランの方です。

読みたい心に火をつけろ!――学校図書館大活用術 (岩波ジュニア新書)

読みたい心に火をつけろ!――学校図書館大活用術 (岩波ジュニア新書)

www.libook11.com

ちょどうど年末に、この本を読んだばかりでした。学校司書の仕事内容について具体的に載っているのでおすすめです。


成績も下がっていることが多いので、『勉強の効率アップに良い本はないですか?』と訊ねてきます。
でも、そういう本は貸しません。まず、話を聞きます。
女の子だったら、雑談話をしながら『生理ちゃんと来てる?』と聞いてみます。
そこで、体調の悩みを打ち明けてくれれば、『体温が下がると免疫力が低下して、勉強が進まないよ』と言って、冷えとりの本などを勧めてみます。

家族が食事をバラバラにとっているようなら、『将来一人暮らししたいって言ってたよね、練習になるし、スーパーでお惣菜を買うよりおいしいかもしれないから、自分で作ってみたら?』とお料理の本を勧めてみたりします。
お料理が続くかはわかりませんが、本を返しに来てくれた時には、『この本、どうだった?』とまた次につなげられるのです。


と、木下さんは図書館に来館した子供達とコミュニケーションを図りながら、その子にとって最適な本を日々手渡していらっしゃいます。



この記事についてはブコメでは様々な意見が書かれていました。


  • 生理についてまで聞かれたくない
  • それは司書の仕事なのだろうか
  • 学校司書はカウンセラーでもあるのか


感じ方は人それぞれだし、どれも確かにその通りだと私は思いました。


確かに本を探しに来ただけで、プライベートな事まで踏み込まれたくない子もいるでしょう。


以前、深刻な悩みを相談された司書の話を聞いたのですが、どこまでプライベートな問題に踏み込んでいいだろうのかと涙ながらに語っていて、私も色々考えてしまいました。


小さな背中に色々な問題を背負っている子供が増えているのは事実です。
複雑な家庭環境、貧困、ネグレスト、虐待・・・もう学校に来れているだけで満点だと思ってしまいます。
本を糸口に少しでも助けになれれば、司書としてやはりそう感じずにはいられません。


図書室で子供達は、素の顔を見せます。


担任の先生の前では真面目で大人しそうな子が、友達にはものすごく乱暴な言葉を使っていたり。
反対に、いつも問題児タイプの子が図書室では他の子のマナーに厳しく真面目だったり。
友達や勉強の悩み。愚痴などを吐き出していくこともあります。


特に深刻な話を耳にした場合は、担任の先生や養護の先生に伝えるようにしていますが、
果たしてそれが助けを求めているものなのか、単に話を聞いて貰いたいだけなのか・・・。
その辺の判断は何年やっても難しいなぁと思います。


ただ、こうしたやり取りができるのは、日々子供達とコミュニケーションがバッチリ取れていて信頼されているからこそでしょう。


私はまだまだ本の知識も、コミュニケーション力も木下さんの足元にも及びませんが
教室や保健室だけでなく、図書室にも話を聞いてくれる人がいる。という安心感を子供達に感じてもらえたらいいなあと思って話かけています。



『司書はここにいるよ!』


だから、いつでも図書室においで!


最後に


時々、教室に入るのが嫌で、授業を抜けて図書室にやってくる男の子がいます。
あまり本を読まないタイプなので、最初は私の顔色を見ながら図書室内をウロウロ。

先生に許可をもらったか確認してから、しばらくそっとしておきます。

ある日、黙々とパソコンに向かって仕事をしている私の所に、彼が少しずつ近づいてきました。習い事の話。兄弟の話。勉強の話。
ポツリポツリと話をしていくうちに、なんだか硬い表情が和らいできたのがわかりました。


『先生。なんか面白い本無い?』


『あんまり長いお話は嫌だ。』
と言う。


そうか。



ちょうど手元にあった最近人気の本を開いて
『騙されたと思って、この話だけ読んでみたら。』と渡しました。


渡したのは最近の人気シリーズで
『5秒後に意外な結末(ミノタウロスの青い迷宮)』
ミノタウロスの青い迷宮 (5分後に意外な結末)

2ページ完結の物語集です。
ブラックジョークが多いのですが、見せたのは確かこんな話でした。(現物が手元にないので記憶を頼りに書きます)




病床のおじいさんの所に、家族達が思い出の写真でいっぱいのアルバムを持ってきます。

おじいさんは涙を流して喜ぶのですが・・・。

ページをめくって、おじいさんの笑顔の写真の上に貼ってあった付箋には一言、

『遺影用』

の文字が。





そのページを見て彼は

『ぷっ!』

と笑顔になりました。
そして『この本借りていく。』といって、教室に戻っていきました。



ちょっとでもお役に立てたかな?

だといいな。




そんな風に思った時間でした。






おしまい