学校司書@非常勤

とある小学校の図書室に生息する、学校司書。難しいこと語れません。絶滅しかかってます。

あがり症の学校司書ですが何か?

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すっかり寒くなってきましたね。

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図書室はエアコンが効いているので、暖かさにつられて子供達が集まってくるようになりました。風が当たるところに固まって本を読んでいます。君たちは猫か。


さて11月も半分が過ぎ、来年度の学校司書の募集がちらほらと出始めています。

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こまめに勤務条件などをチェックしているのですが、なかなか今より待遇が良くなる求人はみつかりません。
自治体の直接雇用は一見いいように思われますが、とても自立できる収入とは言えず、なかには交通費すら出してくれない所もあります。
学校の一員という扱いではあるので、子供達や先生との距離が近いメリットはありますが、その分ついサービス残業や業務外の仕事など無理をしてしまいがちです。


対して民間委託している自治体の司書の話を聞くと、数校掛け持ち・残業ができない・生徒の指導ができないなど自由にできない部分が多いとのこと。難しいですねー。ただ割り切れば待遇面では直接雇用より安定している場合もあります。
学校司書すら配置していない自治体が多い中で贅沢な悩みだと言われるかもしれませんが、やはり一番の理想は


『自治体の直接雇用&一校専任&社会保険完備&フルタイム勤務』です。


まだまだ道程は遠そうですが、学校司書の必要性を認めてもらえるように地道に頑張るしかないと思っています。
あぁ、でも挫けそう…。


そんなモヤモヤした思いを抱えながら、先日更新の為の試験と面接を受けて来ました。この面接が本当に苦手で…なぜなら私とにかくあがり症なのです。

過去に遡ってみます。

転勤族だった幼少期

父が公務員で転勤が多く、幼稚園2校、小学校は3校と転々としました。幸いこの頃は同時期に転校する子供が多く、転校生だからといって特別な目で見られることはあまりありませんでした。ただやっと心を開けてきたと思う頃、友達関係がリセットされることの繰り返しで、子供心にやりきれない思いを抱えていました。そんな私が転校する度に、自然と身に着けたのが「周りに合わせる」ということ。
今思えばこの頃から人の顔色を窺ってばかりいましたね。自分の思っている事の半分も話せなかったです。

会社員時代

就職氷河期だったものの、なんとか奇跡的に就職はできました。配属されたのは営業部での事務。
電話応対がとにかく苦痛で一年目は電話が鳴るたびビクビクしていました。営業さんに電話内容を取り次ぐにも、うまく伝えられない。賑やかな社内で名前を呼ぼうにも大きな声が出ない。そんな対応なので、営業さんから「声が小さい」だの「もっと自信を持って」など厳しいお言葉を掛けられることも多々ありました。
毎日先輩が聞いている傍で電話で応対するのがとにかくプレッシャーで、見られるとまた緊張で顔が熱くなり支離滅裂になる悪循環。
よくこれで社会人として成り立っていたと思います。

PTAの懇談会が大嫌い

結婚してからはしばらく仕事から離れていましたが、ママ友もちらほら出来ました。幸い話に困ると子供を介して話のネタが出来るので口下手な私でも友達とはうまくいっていました。

そのうち、子供が幼稚園や小学校へ進むと「懇談会」なるものが待ち受けていました。
今度は毎年春に行う懇談会での自己紹介が苦痛に。行く前に「こんな感じで話そう」と内容を考えているのに、急に「お子さんの良い所などを」とお題を出されてしまうとパニックになりました。話上手なお母さん達が本当に羨ましかった。

そして、学校司書に

学校司書の面接は二人一組の集団面接でした。
面接ではプリントを渡され読み聞かせを披露したあと質問に答えていきます。一緒に受けた方は塾でアルバイトをしているという若い方でした。
読み聞かせは普段から自分の子供に絵本を読み聞かせしていたので何とかなりました。問題は質問への受け答えです。
お隣の方はさすが教員免許持ち、それはそれは素晴らしい受け答えで、完全に私は頭が真っ白になりました。

「昨今、子供の読書離れが問題になっていますが、それについてどのようなお考えをお持ちですか?」と。

「………」

撃沈でした。

一対一なら緊張しないのですが、集団を前にすると赤面して言葉に詰まってしまうのです。この時は自己嫌悪でかなり落ち込みました。


ただ、後日。
なぜか私は『合格』の通知を手にしていました。
隣で立派な回答をしていた彼女は、不合格だったのか辞退だったのか…合格者の研修にはいませんでした。なぜ?今でもあの面接で合格したのが不思議でなりません。





さて、そんなこんなでいざ合格したものの、同時に出勤日が近づくにつれて違う恐怖が襲ってきました。
何しろ一緒に仕事をするのは学校の先生方なのです。相手はコミュニケーション&会話のプロ。

まさにコミュ強の集まり

自己紹介はなんとか乗り切りました。全校集会での挨拶も心臓がバクバクしながらも話せました。けれど2週間後には全クラスに対して「図書館オリエンテーション」を行なわなければなりません。このあがり症で口下手の私が各学年に合わせて内容を考え、一時間子供達の前に立って図書館の使い方をレクチャーするというのです。
当時は毎晩布団の中でオリエンテーションの流れを考えていました。そのせいか日中睡眠不足でフラフラでした。

そして迎えた当日。先生の仕切りで補佐的に説明するとばかり考えていた私。開始5分で「ではよろしくお願いします」とバトンを渡されてしまいました。
教員免許を持たない、ド素人の主婦が先生の前で授業に近いことをするのです。

「あぁ、自分はななんて分不相応なことをしているのだろう。」と思わず後悔しました。ですが子供達と先生の目は真っすぐこちらを向いています。

やるしかない。

自己紹介と本の紹介、分類の説明など必死で説明しました。顔は赤面。そして汗だくです。終わってみれば結局一時間の半分も使えていませんでしたが、残りの時間は読書に当ててもらいなんとか無事終えることができました。今思えばなんともグダグダなオリエンテーションでした。

そんな感じで一年目は試行錯誤の連続。読み聞かせも、どんなふうに本を読めば子供を引き付けられるのか、悩んでばかりですっかり余裕が無くなっていました。



ある日のこと。その日の読み聞かせは『ぼちぼちいこか』という何をやってもうまくいかないカバが主役の絵本でした。
ぼちぼちいこか
関西弁の口調に子供達がいつもより笑い始めました。なんだかその顔が可愛くて、急に私も楽しくなってきました。そうすると子供達もまた話に食いついてきました。いつも下を向いてテストの丸付けをしている先生も、気が付くと珍しくこっちを向いていました。終わってみればみんな満面の笑み。初めて読み聞かせが楽しい。と思えた瞬間でした。

私自身が楽しんでいないと子供達も楽しくないんだとそんなシンプルなことに改めて気がつかされました。
それまではつい肩に力が入って、怖い顔していたんでしょうね。それからでしょうか、読み聞かせにしろブックトークにしろ、何かが吹っ切れ子供の反応を見る心の余裕が出来てきました。



未だに今日の読み聞かせはいまいちだった!と思う時もありますが、そんな日もあるさと以前よりも引きずらなくなりました。
今度は少し読み方を変えてみようかと思ったり、この本が合わなかったら今度はこの本と、前向きに考えるようにしています。まだまだ教えてあげたい本は沢山あるのです。一年前の自分には考えられなかった変化でした。なにより一番良かったのは、周りには会話のお手本になる先生方が沢山いたからだと思います。



まとめ

最後に、あがり症の主人公が出てくる漫画を紹介します。

『花もて語れ』
花もて語れ 1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)


主人公の佐倉ハナは、ムーンリバーコーヒーの新入社員。極度の人見知りで口下手です。
幼少期から人前では小声でしか話すことが出来ないような子供でした。ある時大勢の前で朗読をすることになったハナは、登場人物の気持ちを驚くほどの表現力で披露し聞いている人々をその世界に引き込みます。
それから数年後、社会人になったハナはうまくいかない仕事に落ち込んでいたところ、偶然朗読教室に通うことになります。


ハナの姿が自分に重なってしまい、最初は読んでいて胸が痛かったです。
ですが朗読の世界に出会い、自分を表現する方法を得てどんどん頼もしくなっていくハナの様子についつい引き込まれてしまいます。
また「視点の転換」「黙読と朗読の違い」など物語を語ることを仕事としている自分にも勉強になる部分が多いです。
一巻では「ブレーメンの音楽隊」教科書に出てくる宮沢賢治の「やまなし」が出てきますが、こんな解釈の方法があったのかと原作を読みたくなってしまいますよ。




さて、面接の結果はまだしばらく分かりませんが、今年はあまり緊張せずに答えることができたと思います。
面接は騙し合いともいいますが、等身大の自分でいいやという開き直りが功を奏したのかもしれませんね。



まずは終わったので、やれやれです。


おしまい